2015年10月26日月曜日

平成日本の新イベント「ハロウィン」(2)合言葉と本当は恐いシンボルの話

  平成日本の新イベント「ハロウィン(ハロウィーン)」の2回目は、ハロウィンの人気の合言葉と、あのシンボルの怖い話です。

 ハロウィンの代表的な合言葉と言えば、「Trick or Treat  (トリック・オア・トリート)」ですよね。
 直訳すれば「いたずらか、おもてなしか」という意味になります。
 
 子供たちが、「トリック・オア・トリート」 と言って、近所の家を回ります。
 「おもてなしをして(お菓子を)くれないと、いたずらするぞ。」という言葉に、訪問される側の大人たちは、あらかじめ用意していたお菓子を、「ハッピーハロウィン」と言って渡します。

 これは、昔のこんな風習の名残と言われています。
 カトリックでは、11月2日を「死者の日」と呼ぶことがあり、昔のキリスト教徒達は「死者の日」になると「魂のケーキ (soul cake)」 を乞いながら、村から村へと歩きました。
 そして、ケーキを貰う際に亡くなった親類の霊魂が、天国へ行くのを助けるためのお祈りをすると約束したのです。


 この 「魂のケーキ」がお菓子に、11月2日が10月31日になったのが、ハロウィンの「トリック・オア・トリート」だと言われています。
 地域の大人たちと子供たちが交流できる機会にもなっています。
 これが、日本のハロウィンの「合言葉」にもなっています。

 ちなみに、日本にもハロウィンが流行するずっと前から、子供たちが近所の家をまわり、お菓子をもらう風習があります。

 たとえば、大分県臼杵市では、名月の夜に子供たちが近所の家を回り、玄関先で「め~げつく~れんなっ♪」と大きな声で言います。すると家の中からおじいちゃんやおばあちゃんなどの大人が出て来て、子供達にお菓子を渡します。

 似たような話は、北海道の七夕まつりにもあって、その日の子供たちの合言葉は、「竹に短冊 七夕まつり 大いに祝おう ろうそく一本ちょうだいな」だそうです。

 遠く離れた洋の東西に、同じような風習があるのは、おもしろいですね。
 
 ネットの噂では、ディズニーランドやUSJ、スタバなどへ行って「トリック・オア・トリート」と言うと、お菓子がもらえるとも言われています。
 真偽のほどはわかりませんので、興味のある方は自己責任で言ってみてください。

<写真 ミスタードーナツのハロウィン菓子>



 もう一つのハロウィンを代表する言葉・シンボルに、「ジャック・オ・ランタン( Jack-o'-Lantern)」があります。
 「お化けカボチャ」または「カボチャちょうちん」のことで、オレンジ色のカボチャをくりぬき、ナイフで目、鼻、口をつけ、内側に火のついたろうそくを立てるものです。
 ハロウィンのシンボルとして、家や街角におかれます。

 実は、この「ジャック・オ・ランタン」には、アイルランドの恐ろしいむかし話があります。

 むかし、人をだますのがうまいジャックという男がいました。
 ある日、ジャックのところに、地獄から悪魔がやってきてこう言いました。
「ジャック、お前は人をだますのがうまいそうだな。お前のような悪人の魂は高く売れるから、俺が買ってやろう。」

 ジャックは、驚きましたが、少し考えてこう答えました。
「わかった。それでは10年後に俺の魂を売ってやる。そのかわり、10年間使っても減らない銀貨を貸してくれ。」
 この悪魔はやさしかったので、ジャックの要求にうなずくと、使っても減らない銀貨に化けてジャックの財布に飛び込みました。


 それからジャックは、散財を続けましたが、お金は減りませんでした。
 10年後、いよいよ悪魔に魂を売る時が来ました。
「ジャック、約束だから魂をもらうぞ。」

 そう言う悪魔に、ジャックはこう言いました。
「約束だから魂をもって行くがいい。だが、まだ約束の10年に数時間ある。最後に、裏庭の木になっているリンゴを食べさせてくれ。」
 
 やさしい悪魔は、
「よし、俺がリンゴを取ってきてやる。」
と言ってリンゴの木に登りました。

「うぎゃー。」
 悪魔はリンゴを取った瞬間、悲鳴を挙げました。
 リンゴがなっている下の枝に、十字架が刻んであったのでした。

 悪魔は十字架で動けなくなって、ジャックに助けを求めました。
「ジャック、助けてくれぇ。」
 ジャックは、笑みを浮かべて言いました。
「いいよ。でも、その代わり、魂を売る約束をやめにして、地獄に行かなくてもいい誓約書を書いてくれ。」

 やさしい悪魔は、十字架から逃れるために誓約書を書き、逃げて帰りました。
 リンゴの木に十字架を刻んだのは、もちろんジャックでした。

<写真 ジャック・オ・ランタン>


 ジャックは、年を取って死んだ時も、誓約書のおかげで地獄行きは免れましたが、天国にも行けませんでした。
 天国にも地獄にも行けないジャックの魂は、今もかぼちゃ(カブとも言われています)をくりぬいた中に灯りを入れたランタンをもって、地獄と天国の間をさすらっているそうです。

 この話が、ハロウィンのシンボル「ジャック・オ・ランタン」の由来だそうです。
 とても恐い話ですね。
 でも、「人をだますと死んでからでも報いを受ける」という、深い教訓が入っていますね。

 ハロウィンの「ジャック・オ・ランタン」は、もしかしたら、持つ人の心の中を照らすための「灯り」なのかも知れませんね。
 
 「平成日本の新イベント ハロウィン」の3回目となる次回は、ハロウィン限定商品と謎の訪問者?の話をしたいと思っています。


<一句>
 ハロウィンに  心を照らす  オ・ランタン

 

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