2015年10月12日月曜日

ラグビーワールドカップと名言集 ~五郎丸・ノーサイド~

   「ラグビーワールドカップ」で日本代表が大活躍して、五郎丸というスター選手も誕生し、今までにないラグビーブームが起きています。
   そこで、今回はラグビーをテーマにお話したいと思います。

    まず、今、盛り上がっている「ラグビーワールドカップ」について、紹介します。
    「ラグビーワールドカップ」は、1987(昭和62)年にオーストラリア・ニュージーランドで第1回が開催され、以後4年に1回行われいます。
 2015年のイングランド大会で8回目となります。

  サッカーの「FIFAワールドカップ」は1930(昭和5)年が第1回大会ですから、ラグビーワールドカップは50年以上、後から始まったことになります。
  しかし、回を重ねるごとに盛んになっており、スポーツイベントとしては「FIFAワールドカップ」、「夏季オリンピック」に次ぐ3番目の規模となっています。

 過去の優勝国は、ニュージーランド2回、オーストラリア2回、南アフリカ共和国2回、そしてイングランド1回です。
 日本が勝った南アフリカは、2度優勝している世界屈指の強豪です。

 第8回大会の参加国は、20ヶ国でうち12ヶ国(前回各ブール3位以上)は予選免除となっていますが、残り8枠の予選には102ヶ国が参加しています。(ちなみに、日本は8大会全部に出場しています。)
 全体的は、発祥の地「イギリス」のイングランド・ウェールズ・スコットランドや、フランス、アイルランドのヨーロッパ勢、それにイギリスがかつて統治していた、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどの南半球の国が強いスポーツです。

 今年の第8回大会では、5ヶ国づつ4プールに分けて、各プールの勝ち点上位2チームが決勝トーナメントに進みます。

 この勝ち点は、各試合で「勝利4ポイント、引き分け2ポイント、敗戦0ポイント」ですが、他にボーナスポイントとして、トライ数4以上に1ポイント(勝敗関係なし)、7点差以内の負け1ポイントが加算されます。

 日本は、南アフリカとサモア,そしてアメリカにも勝ち「12ポイント」を獲得しましたが、トライ数4以上の試合がなかったのと対スコットランド戦の大敗(10-45)で、ボーナスポイントが取れなかったことが響き、惜しくも決勝トーナメント進出を逃しました。(Bグループ1位の南アフリカのボーナスポイントは4、2位のスコットランドのボーナスポイントは2です。)

 前回までの7回のワールドカップ大会の成績が、通算24試合で1勝21敗2分けだった日本が、今大会3勝1敗と大健闘していることはすばらしく、特に強豪・南アフリカに勝ったのは、「番狂わせの起こりにくいスポーツ」であるラグビーでは、歴史的な勝利と言えます。

  あの大ヒット小説「ハリー・ポッター」の作者J・K・ローリングさんもTwitterに、「こんな話は書けない」とツイートしたそうです。

 今回の日本の躍進の原動力は、ヘットコーチのエデイ・ジョーンズ氏(1960年~ オーストラリア出身)と、代表31人中10人を占める外国人選手(ニュージーランド7人、トンガ2人、オーストラリア1人)の力だと言われています。
 しかし、世界一の練習量とチームワーク、そして五郎丸選手などの日本選手のレベル・アップも、大きな要因だと思います。

<写真 日本が南アフリカに歴史的勝利を挙げた「ブライトン・コミュニティ・スタジアム」>



 ここで、第8回ワールドカップの日本代表選手と指導者の名言をいくつか紹介します。

<日本代表ヘット・コーチ エディ・ジョーンズ氏>
・  日本には、「Can’t do(できない)」というカルチャーがあります。私たちは、「Can’t do」のカルチャーを、「Can do(…できる)」に変えていかなければなりません。
・  日本人選手は体格に恵まれない小柄な選手が多いが、それを言い訳にせず、パスやキックをきちんと決めること。KOパンチではなく、ジャブで勝利することが大切だ。

<日本代表スクラムハーフ 田中史朗選手(1985年~ 京都府出身)>
・ このままでは、日本のラグビーは終わってしまう。日本が頑張っているところを、世界に見せなくてはいけない。

<日本代表フルバック 五郎丸歩選手(1986年~ 福岡県出身)>
・ ラグビーが注目されてる今だからこそ日本代表にいる外国人選手にもスポットを。彼らは母国の代表より日本を選び日本のために戦っている最高の仲間だ。国籍は違うが日本を背負っている。   
これがラグビーだ。
・ 僕たちが目指しているのは、W杯でプレーすることではなく、そこで勝って日本ラグビーの歴史を大きく変えることだ。
・ ラグビーに奇跡はない。

<写真 ラグビーの聖地だった旧国立競技場>

 


 今、盛り上がっているラグビーですが、サッカーや野球に比べると、まだまだマイナーなスポーツですよね。
 私も今までは、花園で行われる高校選手権と、国立競技場で行っていた日本選手権ぐらいしか興味なかったような気がします。

 そこで、意外と知られていないラグビーの基本的なルールと歴史の話をします。
 ラグビーは、楕円形のボールを、1チーム15人(13人や7人の場合もあります)で奪い合い、相手のインゴールへ運び込む(トライ)か、H型のポールへ蹴り込む(ゴール)スポーツです。

 正式には「ラグビーフットボール」と言います。
 サッカーと同じ起源ですが、手をつかってもよく、ゴールキーパーはいません。ただし、前へボールを落としたり(ノックオン)、前へパスを出したり(スローフォワード)すると反則になります。
 
 ラグビーの起源は、1823年(日本は江戸時代)にイギリス・イングランドの「ラグビー校」で、フットボールの試合中、ウィリアム・ウェッブ・エリスという選手が、ボールを抱えたまま相手のゴール目指して走り出したことだとされています。

 ラグビーの得点には、4種類があります。
 ボールを相手のイン・ゴールへ持ち込み、地面につけると「トライ(T)」で5点になります。
 トライ後に与えられるゴールキックが、ボールポストの間でクロスバーを超えると「コンバージョン(G)」で2点になります。

 他に、反則によるフリーキックが入ると「ペナルティゴール(PG)」、プレー中にワンバンドさせたボールをキックしてゴールに入ると「ドロップゴール(DG)」で、いずれも3点になります。
 
 試合時間は前半・後半40分ずつですが、時間が過ぎても攻撃プレーが継続していると、ゲームは続けられます。
 試合は、合計得点の多い方が勝ちになります。
 ワールドカップの決勝トーナメントなどを除いて、基本的には延長戦はありません。(高校ラグビーで同点の場合は抽選、決勝のみ両校優勝になります。)

<高校ラグビーの聖地 近鉄花園ラグビー場(大阪府東大阪市)>



 最後は、ラグビーの精神を象徴する有名な二つの言葉を紹介します。

 1つ目は、「One for all,all for one.( 一人はみんなのために、みんなは一人のために)」です。
 選手一人一人がチームのために最善を尽くし、チーム全体で一人の選手をサポートするという意味で、ラグビーのチームワークの象徴とも言われています。

 この言葉の語源は、1844年にフランスで発表されたアレクサンドル・デュマ・ベールの小説「三銃士」で、主人公のダルタニヤンが言った言葉です。

 しかし、多くのラグビー選手やラグビーを扱った学園ドラマで使ったことで、「ラグビー精神」を象徴する言葉になりました。
 中でも、1985(昭和60)年から1986(昭和61)年に放送されたテレビドラマ『スクール・ウォーズ』で使われたのは有名です。

 また、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という言葉は、日本の学校教育の訓示やスローガンでもよく使われています。
 私の通った小学校にも、教室の前に、この言葉が貼りだされていたことを憶えています。
 さらに、永世中立国スイスでも、大切にされている言葉だそうです。

 もう1つのラグビー精神を象徴する言葉は「ノーサイド(NO SIDE)」です。

  ラグビーでは、主審が試合終了の笛を吹いたあと「ノーサイド」と叫びます。
 試合が終われば、「格闘技」とも言われるラグビーでも、敵のサイドも味方のサイドもなくなり、みんなが仲間になるという意味です。
 ラグビー精神を象徴するすばらしい言葉ですね。

 「ノーサイド」と言えば、松任谷由実さん(ユーミン)が1984年に発表した「ノーサイド」という曲があります。

 昭和59年の全国高校ラグビー大会決勝の「天理対大分舞鶴」戦で、決めれば同点で両校優勝となるゴールキック(コンバージョン)をはずしてしまった試合がモデルと言われています。
 2013(平成25)年、旧国立競技場で行われた最後のラグビー早慶戦で、ユーミンがこの歌を熱唱しました。
 1番の歌詞を紹介します。


♪「ノーサイド」 (作詞・作曲・歌 松任谷由実)

彼は目を閉じて
枯れた芝生の匂い 深く吸った

長いリーグ戦 しめくくるキックは
ゴールをそれた

肩を落として 土をはらった
ゆるやかな冬の日の黄昏に

彼はもう二度と 
かぐことのない風
深く吸った

何をゴールに決めて
何を犠牲にしたの 誰も知らず

歓声よりも長く
興奮よりも速く

走ろうとしていた
あなたを少しでも 
わかりたいから

人々がみんな 立ち去っても
私 ここにいるわ


 この歌を聴くと、今は亡き「国立競技場」で、雪の日に見た「ラグビー日本選手権」を思い出します。
 10月12日の早朝(日本時間)に行われたアメリカ戦で、日本代表の「2015年 ラグビーワールドカップ」は、ノーサイドになりました。

 しかし、「ワールドカップ・イングランド大会」は、10月末まで続きます。
 また、2016年には、リオデジャネイロオリンピックで「7人制ラグビー」が、正式種目になります。
 そして、2019年、次の「ラグビーワールドカップ」は、日本で開催されます。

 がんばれ、日本ラグビー!

<一句>
  人生は ノーサイドまで 夢戦士


 

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