2015年11月28日土曜日

ダイエット食?「コンビニおでん」ランキング ~おでんの不思議な物語~

 「晩秋」、「初冬」という言葉がぴったりの季節になりましたね。
 北日本では大雪、東日本では木枯し、そして西日本でも紅葉の季節です。

 この季節に、恋しくなる食材と言えば、「おでん」ですね。
 そこで今回は、心があったかくなりそうな「おでん」の話をしたいと思います。


 まず、今どきのおでんの代表とも言える、コンビニおでんの「売れ筋ランキング」を紹介します。
 今回紹介するのは、「セブンイレブン」「ローソン」「ファミリマ-ト」で売れた「おでん種(だね)」のランキングを、3つ合わせた総合ランキングです。(資料は2013年のものです。)

 各コンビニの「おでん種」売り上げベスト5に、<1位5点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点>の点数をつけ、その合計の多いものを上位としました。

 まず、同点で2種類ある4位の種は、「厚揚げ」と「牛筋」で、共に5点です。
 「厚揚げ」は、セブン4位、ローソン4位、ファミマ5位と安定しています。
 「低カロリー」と言われるおでんですが、「厚揚げ」のカロリーは、76~122kcalで、同じチェーン店でも地域差があるみたいです。

 もう一つの4位「牛筋」は、セブン2位、ローソン5位、ファミマ圏外と、「セブンイレブン」の人気商品のようです。
 牛筋のカロリーは、21~51kcalですが、こちらも地域差がかなりあるようです。
 牛筋より、厚揚げがカロリーが高いのは意外ですね。

 「コンビニおでん」の売れ筋第3位は、「白滝」で7点です。
 ローソンとファミマで3位、セブンでは5位です。
 注目はカロリー数で、6~12kcalと超低カロリーで、おいしい割りにダイエットの味方ですね。

<写真 コンビニ(ファミリーマート)のおでんセール>
 




 ここで、少しランキングから離れて、「おでん」のウンチクを紹介します。
 
 「おでん(御田)」は、煮物または鍋料理に分類される日本料理です。
  味付けしたつゆに、さまざまな「おでん種(だね・たね)」を入れて煮込みます。

 おでんは、田楽に丁寧さを表す「お」をつけた「女房言葉(おにぎり、おひやなどと同じ)」で、宮中や武家の女性の間で使われていました。
 江戸時代以降「おでん」は、「煮込み田楽」を指すようになりました。

  江戸時代、豆腐を串に刺し、焼いて味噌を付けて食べる「田楽」が江戸名物となりました。
 やがて、せっかちな「江戸っ子」に合わせて煮込みが行われるようになったと言われています。

 関西(上方)でも、江戸の名物として「関東炊き/関東煮(かんとだき)」と呼んで、おでんが食べられるようになり、昆布・クジラ・牛すじなどでダシをとったり、薄口醤油を用いたりと、関西風のアレンジが加えられていきました。

 関東のおでん屋は、1923(大正12)年の関東大震災で壊滅的な被害を受けますが、その際、「関西風のおでん」が、関東へ逆輸入され、関東と関西のおでんがミックスされ、様々なおでん種やつゆの「おでん」が、全国に広がっていきました。

 昭和のおでんは、専門店よりも飲食店のメニューの1つ、屋台、そして家庭料理として人気が出ました。
 1979(昭和54)年、セブンイレブンがコンビニで初めて「おでん」を発売し、平成に入ると「コンビニおでん」が各コンビニで人気商品となりました。
 各社の売り上げは不明ですが、セブンイレブンだけで、2011年に2億7700万個の「おでん種」が販売されたそうです。すごい量ですね。

 ここで、世にも不思議な「コンビニおでん伝説」を、いくつか紹介します。
 まず、「コンビニおでん」の売り上げピークの月は、何月か、ご存じですか?

 12月?、1月?、2月?、「ブゥー」、全部違います。

 実は、10月なんだそうです。
 理由ははっきりしませんが、CMなどで「コンビニでおでん」を積極的に売り始める時期であるということと、夏が過ぎ久々に気温が下がり、「あたたかい食べ物」が欲しくなるけれどまだ家庭や飲食店には、「おでん」はないからなどが考えられます。
 でも、本当のところはわかりません。

 もっと、不思議なのは、10月がピークで、あとは10月の売上から若干下がった所で、その冬のシーズンは、あまり下がらず推移するという現象です。

 つまり、10月の売り上げが高ければその冬はずっと「おでん」の売り上げが好調で、10月の売り上げが低いと、その冬の「おでん」はずっと売り上げが低調ということになります。
 コンビニおでんの「決戦は10月」という、不思議な、でも本当の話です。

 もう一つ、「コンビニおでん」の不思議な話をします。
 全国47都道府県に店舗のある「ローソン」で、1店舗あたりの「おでん売り上げ」が一番多いのはどこの都道府県か、おわかりですか?

 東京?、大坂?、北海道?、これも難問です。
 
 実は、「沖縄県」なんです

 暖かいというより、暑いイメージの沖縄県が、「おでん売り上げ日本一」というのは、本当に不思議ですね。。(因みにローソンに限ったのは、セブンイレブンは沖縄に店舗がなく、ファミリーマートは非公表という理由からです。)

 理由は、「沖縄県では家庭であまりおでんを作らない」からとも言われていますが、沖縄の「おでん」の売り上げは、8月で全国平均の2倍、12月では3倍ということですので、すごいです。

 このブログでは、コンビニ3社のベスト5でランキングを算出しましたが、ローソンのおでんの売り上げ全国ベスト10には、沖縄県限定販売の「沖縄厚揚」、「沖縄風ソーキ」、そして「島コンニャク」と、3つも沖縄だけのものが入っているそうです。
 香川県は、「うどん県」と自称していますが、沖縄県は「おでん県」って言ってもいいのか知れませんね。

<写真:沖縄のコンニビおでんのメニュー>



  さて皆さん、だいぶ寄り道をしてしまいましたが、「コンビニおでん」の売れ筋ランキングに、戻りましょうか。

 ランキングの第2位は、「たまご」で11点です。
 ローソンとファミマで2位、セブンイレブンで3位と、安定した人気を誇ります。
 カロリーはというと、72~85kcalです。

 実は、私の一番好きな「おでん種」は、たまごです。
 子供の頃、共稼ぎだった母親が、作り置き用に仕込んでくれた「おでん」を食べるのが大好きでした。
 中でも「たまご」は、小皿に取って半分に割って黄身をだしに解かすと、他のおでん種までおいしくなって、最低でも3個ぐらいは食べていました。
 さすがに、健康のために今は控えていますが、それでも2個は食べます。

 いよいよ1位の発表です。
 この「おでん種」の得点は、なんと15点満点です。
 つまり、セブンイレブンでも、ローソンでも、ファミマでも、1位なんです。

 他の追随を許さない、不動の「おでん王」は、「大根」です。
 商品名は、セブンイレブンが「味しみだいこん」、ローソンが「ローソンファーム大根」、そしてファミリーマートは「大根(単純明快?)」です。
 カロリーはというと、なんと8~13kcalという低さです。
 確かに、コンビニおでんは、ダイエット食品と呼んでもよさそうですね。
 
 このブログを書いていて、私も「コンビニおでん」が食べたくなって、実はさっき買ってきて食べてしまいました。(お先にすみません)

 ベスト3の「大根、たまご、白滝」を食べてみましたが、本当においしかったです。
 「コンビニおでん」は、セールの時には、1日10万円以上を売り上げるほどの人気商品だそうですが、特に大根の味のしみ具合を味わうと、本当に癖になる味だと思いました。

<コンビニおでんの売れ筋ベスト3 (写真はローソンのおでん)>



 ところで、2015(平成27)年10月より、テレビ東京系(BSジャパンを含む)で、毎週火曜日の1時35分(深夜)に、「おそ松さん」というテレビアニメが始まっています。

 このアニメは、「天才バカボン」や「ひみつのアッコちゃん」などで有名な漫画家・赤塚不二夫さんの原作の「おそ松くん」(1966(昭和41)年~1967(昭和42)年と、1988(昭和63)年~1989(平成元)年に、2度テレビアニメ化)のリメイクです。

 6つ子の兄弟(おそ松、カラ松、チョロ松など)が主人公なのですが、この中に「シェー」という流行語で有名な「イヤミ」と並び、強烈キャラのわき役で登場するのが、いつもおでんを持っている「チビ太」です。

 漫画やアニメでは、チビ太は、棒に△〇を突き刺した「おでん」を持っています。わかりやすい略画で、子供たちがよく真似をしたそうで、「おでん」を表す定番になっています。
 これは、「こんにゃく、がんもどき、鳴門巻き」を描いたものだそうです。

 このおでんは、21世紀になって、「サークルKサンクス」が「チビ太のおでん」として復活させたそうです。

 さしずめ、今回の「コンビニおでんのランキング」だと、平成のチビ太のおでんは、「だいこん、たまご、白滝」ということになりますね。

<おでんコンニャク>




 最後に、今は亡き祖父が好きだった「おでんコンニャク」の話をさせてください。
 
 祖父がガンになって入院していた時のことです。
 「〇〇の店のおでんコンニャクを買ってきてくれ。」と頼まれて、車で買いに行ったことがありました。

 その店は「うどん」がおいしいと評判の峠にある店でしたが、なぜか祖父に「おでんコンニャク」をリクエストされ、みそだれをいっぱい着けて買って病院へ戻りました。

 病室のベットで上半身だけ起き上がり、「うまい、うまい。」とおいしそうに食べる祖父を見ていた時、突然、看護師さんが入ってきました。
「まあ、おでんなんか食べて、△△さん、病室は、病院食以外は禁止ですよ。」
 
 焦る祖父に、看護師さんは、笑顔でこう続けました。
「でも、〇〇の店のおでん、おいしいのよね。今日は、先生には内緒にしてあげますね。特別ですよ。」

 そう言って、看護師さんが部屋のドアを閉めると、祖父は安心して、「おでんコンニャク」の残りを、おいしそうに食べました。

 それから数カ月後、祖父は病院で亡くなりました。
 今、思うと、あの看護師さんは「祖父が不治の病」にかかっていたから、「おでんコンニャク」を見逃してくれたような気がします。
 今でも、おでんのコンニャクを見ると、あの時の祖父の笑顔が思い出されます。

 昭和の「家庭料理」の代表格だったおでんは、平成の今では、独身者が食べる「あったかいもの」のシンボル、いわば「青春おでん」(年齢・性別は問いません)と言ってもいいのかも知れません。
 一つだけ、今も昔も変わらないのは、「おでん」が日本人の心に沁みる日本料理であることだと思います。
 今夜は、「おでん」にしませんか?


<一句>

・ じいちゃんの おでんコンニャク なみだ味   

・ コンビニの おでん沁み入る  一人部屋  
 

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