2016年2月20日土曜日

さる年の話3「申年の歴史(1901~1968年)」~日光の3猿と4匹目~

 2016(平成28)年は、「申(さる)年」です。
 これまで2回、「申年の話」をブログに上げて、最近3回(1980年、1992年、2004年)の申年の出来事などを紹介してきました。

 「申年の話」の3回目は、20世紀の残りの申年、「1908年~1968年の申年の歴史」を紹介していきたいと思います。

 まず、20世紀最初の申年、1908(明治41)年は、シベリアのツングースカに隕石が落ち、巨大爆発が起こっています。
 この年、ソニー創業者の井深大(4月11日)さんが生まれています。

 次に、1920(大正9)年は、第1次世界大戦後の国際秩序を構築するため「国際連盟」ができ、日本も加盟しています。
 また第1回箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)が開催され、初めての「国勢調査」も実施されています。
  この年生まれた有名人には、サザエさんの作者・長谷川町子さん(1月30日)やプロ野球で巨人を九連覇に導いた川上哲治さん(3月23日)がいます。

 続いて1932(昭和7)年は、満州国が建国を宣言し、「五・一五事件」で犬養毅首相が暗殺されました。ドイツの総選挙では、ヒットラー率いるナチスが圧勝し、戦争の足音が聞こえてくるような情勢となりました。
 この年生まれた有名人には、京セラ創業者の稲森和夫(1月30日)さんや、作家で都知事になった石原慎太郎(9月30日)さんらがいます。

 1944(昭和19)年は、「連合軍のノルマンディー上陸作戦成功」や「日本軍のインパール作戦失敗やマリアナ沖海戦での敗北」など、ドイツや日本の敗戦が濃厚になり、国内では疎開が行わました。
 大きな自然災害も発生し、6月に北海道で大噴火が起きて「昭和新山」ができ、12月にはM7.9の「東南海地震」が起き、死者・行方不明1223名を出しました。
 この年生まれた有名人には、草野仁(2月24日)、久米浩弘(7月14日)の両アナウンサーや、「スター・ウォーズ」などを撮ったジョージ・ルーカス監督(5月14日)などがいます。

<1944年の大噴火でできた昭和新山(北海道)>



 続いて1956(昭和31)年は、日本が「国際連合」に加盟した年で、「もはや戦後ではない」と言われました。
 また、石原慎太郎の小説を原作とした日活映画『太陽の季節』が公開され、慎太郎の弟の石原裕次郎が俳優デビューし、一躍人気者になり、「太陽族」「シンタロー刈り」などの言葉が流行しました。
 この年、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市の5市が初の「政令指定都市」となりました。

 1956年に最もヒットした曲は、曽根史郎さんの「若いお巡りさん」、最もヒットした映画は、松田定次監督の「任侠清水港」(興業収入3億5000万円)、ベストセラーには、社会現象にもなった石原慎太郎の「太陽の季節」でした。
 この年生まれの有名人には、サザンオールスターズの桑田佳祐さん(2月26日)や長淵剛さん(9月7日)、映画俳優のトム・ハンクスさん(7月9日)らがいます。

 最後に、48年前の申年、1968(昭和43)年の出来事を紹介します。
 1968年は「小笠原諸島」が本土に返還され、日本のGNPがアメリカについで、世界第2位になりました。
 「三億円強奪事件」もこの年です。

 また、川端康成さんが「ノーベル文学書」を受賞しました。
 この頃は「70年安保闘争」という学生運動が盛んで、世相では「巨人(プロ野球・この年で4年連続日本一)、大鵬(大相撲)、卵焼き」という、子供・女性の好きな3つのものが話題になりました。
 海外では、「べトナム戦争(アメリカ対北ベトナム)」が泥沼の戦闘を繰り広げ(2月の旧正月にテト攻勢)、アメリカでは4月4日に、「I have a dream.」の名言で有名な「キング牧師」が暗殺されました。

 1968年の流行語としては、「大きいことはいいことだ」や「わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい」などのCMから流行ったもののほか、「ゲバ(権力に対する実力闘争)」、「五月病」、「ハレンチ」などがありました。

 1968年に最もヒットした曲は、黛じゅんさんの「天使の誘惑」(46万枚)、最もヒットした映画は、稲垣浩監督の「風林火山」(興業収入7億円)、大河ドラマにもなった司馬遼太郎さんの小説「竜馬がゆく」が発表され、ベストセラーになりました。
 また、「少年ジャンプ」が創刊され、テレビアニメとして「ゲゲゲの鬼太郎」や「巨人の星」が放送されました。
 この 年生まれの有名人としては、歌姫セリーヌ・ディオン(3月30日)さんや元大リーガーの野茂英雄(8月3日)さんらがいます。


<日光東照宮の三猿>



  おしまいは、日光東照宮の「三猿(さんざる、さんえん)」の話です。

 世界遺産の日光東照宮には、神馬をつなぐ「神厩舎・三猿(しんきゅうしゃ・さんざる)」という建物【重要文化財】があって、 3匹の猿が両手でそれぞれ目、耳、口を隠している彫り物があります。 有名な「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿です。

 これは孔子の言葉を集めた『論語』に、「非礼勿視、非礼勿聴、非礼勿言、 非礼勿動」(礼にあらざれば視るなかれ、礼にあらざれば聴くなかれ、礼にあらざれば言うなかれ、礼にあらざればおこなうなかれ)という一節があることからきています。

 つまり、まだ経験が少なく免疫のない子供たちや妊婦さんに、悪いものを、見せたり、聞かしたり、言ったりしてはいけないという、教えです。

   この三猿の教えは、日本だけでなく、中国、インド、エジプト、そして欧米にも伝えられています。
 インドのマハトマ・ガンジーが、いつも三猿を近くにおいていたのは、有名です。

「ちょっと待った、「論語」にはしてはいけないことが、4つあるのでは?」
 そう、気づいたあなたはさすがです。

 実際、 「見ざる、聞かざる、言わざる」の次に、「行わざる」あるいは「しざる」という4匹目のさるが、股間を押さえている人形も、アジアにはあります。

<四猿の置物>



 ただ、しざるは「死」に通じるとか、下品な4匹目のサルは、「神君・徳川家康公」を祭る日光東照宮にはふさわしくないので、サルは3匹になったそうです。

 3猿の話も、深いですね。



<一句>

  さる年の 株も気温も  乱高下

0 件のコメント:

コメントを投稿