2016年2月11日木曜日

「建国記念の日」の由来 ~三本足の八咫烏=サッカー・高杉晋作・自衛隊~

 今回は、「建国記念の日」の由来について、紹介します。

 「建国記念の日」は、「国民の祝日」の一つで、ハッピーマンデーの対象ではなく、必ず「2月11日」になっています。
 ということは、何か重要な由来がありそうですね。

 「国民の祝日に関する法律」では、「建国記念の日」は、「建国をしのび、国を愛する心を養う。」と規定されています。

 1966(昭和41)年に国民の祝日に加えられ、翌1967(昭和42)年の2月11日から適用されています。すると、今年、2016年は、50回目の「建国記念の日」ということになります。
 おめでとう!(結局、休みが嬉しいだけ?)

 2月11日は、戦前は「紀元節」と呼ばれていました。
 紀元節は、『日本書紀』が伝える初代天皇「神武天皇」の即位の日として、1872(明治5)年に制定された祝日ですが、太平洋戦争後の1948(昭和23)年に、当時、日本を占領していたGHQ(アメリカを中心とした連合国軍総司令部)の意向で、廃止されました。

 その後、自由民主党の議員を中心に「建国記念日」を復活しようとの動きが高まり、9回国会に提出されましたが、当時の社会党を中心とする野党の反対で9回とも廃案になりました。

 結局、「建国記念日」ではなく、「の」を入れた「建国記念の日」とすることで決着し、1966(昭和41)年に国民の祝日に加えられました。

 それでは、「紀元節」の根拠はというと、「日本書記」(720(養老4)年 奈良時代)に書かれた記述がもとになっています。

 日本書紀によれば、初代天皇である神武天皇(じんむてんのう、紀元前711年?~紀元前585年?)の即位は、「辛酉(かのととり=干支では58番目)の年の正月の庚辰の朔(旧暦1月1日)に、天皇橿原宮(奈良県)において帝位に即く」と記述されています。

 これを、明治政府が新暦に直した結果、神武天皇即位の日は「紀元前(BC)660年2月11日」であり、2月11日を「建国の日=紀元節」と定めました。

 歴史的には、紀元前660年は、日本では「縄文末期から弥生時代の始め」にあたり、神武天皇の寿命も120歳以上になるので、この出来事は「伝説」とされています。

<橿原神宮(奈良県橿原市)>



 この伝説によると、神武天皇は日向の国(宮崎県)から東征しますが、河内国(大阪府)のあたりで、一度、破れます。

 「太陽の子の我々が、太陽(東)に向かって攻めるから破れたのだ。相手(大阪を拠点)より東に廻り込んで、太陽の方向(東)から攻めよう。」
 とおっしゃって、海路、熊野(和歌山県・三重県の南部)へ回って上陸します。

 ここでも苦戦しますが、「八咫烏(やたがらす)」という3本足のからすに導かれて、熊野から大和国(奈良県)へ入って、橿原宮で初代天皇として即位します。
 この即位の日が、西暦の紀元前660年2月11日ということになります。

 戦前は、この西暦紀元前660年を起点として「皇紀元年」とし、そこから何年目かという数え方もしていました。
 たとえば、太平洋戦争中の日本軍の主力戦闘機「ゼロセン」の名前は、正式採用された1940(昭和15)年が皇紀2600年にあたることから、その下二桁の「00」をとって、「零式艦上戦闘機=ゼロセン」と呼ばれるようになりました。

 因みに、一部のカレンダーには記載がありますが、2016(平成28)年は皇紀2676年に当たります。

<零式艦上戦闘機(ゼロセン)>



   最後は、先ほども登場した「3本足のからす(八咫烏)」の伝説と、「三千世界のからすの話」を紹介します。 

  「3本足のからす=八咫烏(やたがらす)」は、神武天皇を案内したことから縁起のいいものとされ、日本ではシンボルマークやエンブレムに使われています。

  有名なのは「サッカー日本協会」のシンボルマークや、「サッカー日本代表チーム」のエンブレムです。
 他にも、戦前の日本軍や戦後の「陸上自衛隊中央情報隊」のマークにもなっています。

 また、2004年には、群馬県大泉町の天文家・小林隆男さんが発見した小惑星(1997 AY1)が「八咫烏」という名前で国際登録され、夜空に輝く星になっています。


 今も熊野のからすは、「八咫烏」の子孫として信仰の対象になっており、お土産物としても「八咫烏」が売られています。
 また、「熊野の牛玉宝印の札の裏に書いた約束事を破ると熊野のカラスが一羽死に、約束を破った本人も罰を受ける」という伝説もあります。

<八咫烏の置物(熊野のみやげ)>




 この伝説を踏まえたのが、幕末の風雲児・高杉晋作(1839年~1867年、山口県出身)が作った、有名な次の「都々逸(どどいつ)」です。

「三千世界の烏(からす)を殺し、主と朝寝がしてみたい」

  これは、「朝になると、うるさく鳴くカラスたちを全部殺してお前と朝寝がしたい」という意味に思えます。
 しかし、実は「他の男たちとの約束を全て破り、熊野のからすをことごとく死なせてしまってでも、あなたと朝寝をしていたい。」という内容も入っているそうです。

 「建国記念の日」の話から、最後は「からす」の話になりましたが、おもしろいですね。


<マイ・ドドイツ>

 過去も 仕事も 悲運も忘れ 世界の話を してみたい」

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