2016年2月7日日曜日

世界3大雪祭「さっぽろ雪まつり」~歴史と祭を支える影の軍団~

 「お客さん、雪まつりも終わりまだ春も遠い。こんな時期に札幌に来ても、何もありませんよ。」
 数年前、私が2月末に、仕事で北海道の札幌を訪れたとき、タクシーの運転手に言われた言葉です。

 内心、「私は、何もない冬の札幌も好きなんだ。ほっといてくれ。」
 そう思いながら、カチンカチンに凍った<何もない夜の札幌>の街を、転ばないように恐る恐れ歩いた記憶があります。(冬の北海道には、結構、行っています。)

 でも、逆に言えば、「雪まつりの札幌はステキ」ということですね。
 今回は、2016(平成28)年2月5日に始まった世界三大雪まつりの一つ、「第67回さっぽろ雪まつり」を紹介したいと思います。

<「さっぽろ雪まつり」(大通会場)>

 


 「さっぽろ雪まつり」は、1950(昭和25)年に、地元の中・高校生が、6体の雪像を「札幌市の大通公園」に設置したことを きっかけに始まりました。
 雪合戦や雪像展、カーニバルなども同時に開催し、5万人あまりの人出がありました。
 予想以上の大人気で、この後、札幌市の冬の行事として定着していきました。

 年々、盛んになってきた雪まつりですが、1974(昭和49)年のオイルショックの時には、雪を運ぶためのトラックのガソリンが不足して、ピンチになりました。

 「トイレットペーパーやガソリンが無くなる」という噂が流れ、パニックになった時代の波は、雪まつりにも襲いかかりました。
 それでも、雪像の中にドラム缶を入れて雪の量を節約するなどして、ピンチを乗り越えたそうです。(大きな像には、800本もドラム缶を入れたそうです。まるで、ドラム缶が雪化粧した感じですね。)

 その後も、「さっぽろ雪まつり」は年々盛んになっていき、昨年(2015年)は、観客数235万人、
雪像数207基にもなっています。

 観光客全体の48%が札幌市民で、札幌以外の北海道内からの観光客が33%、北海道外からの観光客が14%(約32万人)となっています。
 また、外国人観光客も12万8千人に達しています。

 雪まつりは、経済的も札幌に貢献していて、2014年に札幌市が算出した「雪まつりの経済波及効果」では、その効果が419億円にものぼっています。

 今や「さっぽろ雪まつり」は、カナダの「ケベックウインターカーニバル」、中国の「ハルピン氷祭り」と並んで、「世界三大雪まつり」の一つと、言われています。

<写真 ラグビー五郎丸選手の雪像>
 


   ここからは、2016(平成28)年の「さっぽろ雪まつり」について、紹介します。
   
   まず開催場所は、北海道札幌市内の次の3か所です。(下の地図参照)
(1)大通会場(大通公園西1丁目から西12丁目まで)
(2)つどーむ会場(スポーツ交流施設 「つどーむ」)
(3)すすきの会場(南4条通から南7条通までの駅前通)

  次に会期は、「大通会場」と「すすきの会場」が2月5日(金)から2月11日(木・祝)までの7日間で、  「つどーむ会場」は、2月5日(金)から2月18日(木)までの14日間です。
雪氷像の数は208基で、内訳は、 大通会場が126基、つどーむ会場が22基、すすきの会場が60基です。

 また雪氷像は、概ね次の3種類に分類されます。
(1)大雪氷像は、高さ15mくらい(雪量5トントラックで500台程度)です。
(2)中雪氷像は、高さ10mくらい(雪量5トントラックで300台程度)です。
(3)小雪氷像は、高さ2mくらい(雪量5トントラックで2台程度)です。

 2016年の「大通会場」では、大雪像が5基(4、5、7、8、10丁目)、大氷像が2基(2、5丁目)を始め、国際雪像が12基、そして多くの市民雪像も立ち並んでいます。

 今年の特徴的な雪氷像としては、「ラグビーの五郎丸選手」や、「今春、函館まで開通する北海道新幹線」、さらには「人気アニメ:進撃の巨人」などが作られています。

 また、今年の会場では、2月11日まで、毎日、「雪ミク像ライトアップショー」や、「ラブライブ」、「進撃の巨人、サッポロに襲来!ライブ」などのイベントがあるそうです。

 さらに2月7日には、北海道旭川市出身の人気芸人「ともかく明るい安村」さんも出演するそうです。全裸で「雪まつり」、想像しただけで凍えそうですが、大丈夫でしょうか?

 会場の近くの方や、遠くても日程的に来場可能な方は、ぜひステキな「第67回さっぽろ雪まつり」をご覧ください。

<会場の配置図>



  次は、「さっぽろ雪まつり」を、影で支える「軍団」のお話です。

・コンピューターを使ったCAD設計
・詳細図面作成 スケールモデル作成
・雪集めと輸送
・雪山造り
・作品の製作
・会場警備
・雪氷像の修復

 「影の軍団」は、これらの作業に関わり、「さっぽろ雪まつり」には、欠かせない縁の下の力持ち的存在となっています。
 この団体、何かわかりますすか?

 そうです。
 正解は、「自衛隊」なのです。文字通り「影の軍団」ですね。

 自衛隊は、1955(昭和30)年に初めて「さっぽろ雪まつり」に参加し、10mのマリア像「栄光」
を製作しました。
 1965(昭和40)年の第16回からは正式に参加し、1972(昭和47)年の第23回には、実行委員会と自衛隊が「雪まつり協力に関する協定書」に調印しました。

 現在では、「陣地構築訓練」という名目の下に、重機などのハイテク機械や多くの自衛隊員を使って協力し、「雪まつり」には欠かせない「影の軍団」となっています。
 もちろん、作品の安全な撤去にも、自衛隊が大きな役割を担っています。

<写真: 北海道新幹線の雪氷像>



  最後は、札幌に因んだ名曲を紹介します。

  これまでの最大の雪像は、札幌で冬季オリンピックが開催された1972(昭和47)年の第23回に、真駒内会場で展示された「ガリバーようこそ札幌へ」で、高さ25m、雪輸送トラック1300台分だったそうです。

 この年の札幌は、冬季オリンピック開催で注目を浴びていましたので、この雪像がテレビで世界中に紹介され、「さっぽろ雪まつり」の宣伝に大きな役割を担いました。

 この1972年の「札幌冬季オリンピック」では、テーマソングとして「虹と雪のバラード」という曲が作られました。
 かなり古い曲ですが、すごくいい曲だと思いますので、「札幌の因んだ名曲」として紹介します。(ぜひ、You Tubeで聴いてみてください。)


♪「虹と雪のバラード」♪

作詞 河邨文一郎
作曲 村井邦彦
歌 トワ・エ・モア(ほかにも多くの歌手が歌っています)



虹の地平を歩み出て
影たちが近づく手を取りあって
街ができる 美しい街が
あふれる旗 叫び そして歌

ぼくらは呼ぶ あふれる夢に
あの星たちの間に
眠っている 北の空に
君の名を呼ぶ オリンピックと


雪の炎に ゆらめいて
影たちが飛び去る ナイフのように
空が残る 真っ青な空が
あれは夢 ちから それとも恋

ぼくらは書く 生命(イノチ)の限り
今 太陽の真下に
生まれ変わる サッポロの地に
君の名を書く オリンピックと


生まれ変わる サッポロの地に
君の名を書く オリンピックと♪



<一句>
冬まつり ライトアップで ほっこりと
 
 

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