今回は、「2015年NHK紅白歌合戦」の大トリを飾った松田聖子の名曲「赤いスイトピー」に関するエピソードを、紹介したいと思います。
「赤いスイトピー」は、1982(昭和57)年1月にリリースされた松田聖子(まつだ・せいこ1962年~ 福岡県出身)さんの8枚目のシングルです。
作詞は、KinKi Kidsの「硝子の少年」や太田裕美の「木綿のハンカチーフ」をはじめ多くの名曲を書き、歴代3位の売り上げを誇る松本隆(まつもと・たかし 1949年~ 東京都出身)さんです。
作曲は、呉田軽穂(くれた・かるほ)さんです。「誰?」と思われた方も多いと思いますが、実はあのシンガーソングライターの松任谷由実(まつとうや・ゆみ 1954年~ 東京都出身)さんのペンネームです。
「ライバル(松田聖子?)に曲を作りたくない」と固辞していたユーミンが、どうしてもと言われ、「ペンネームなら」と作曲したそうです。
つまり、「赤いストピー」は、松田聖子・松本隆・松任谷由美という黄金トリオの歌です。
因(ちな)みに、紅白歌合戦で「赤いスイトピー」が歌われたのは、2015年が初めてでした。
ここで、1番の歌詞を紹介します。
♪「赤いスイートピー」♪
歌:松田聖子
作詞:松本隆
作曲:呉田軽穂(松任谷由美)
♪(1番)
春色の汽車に乗って海に連れて行ってよ
煙草の匂いのシャツにそっと寄りそうから
何故 知りあった日から半年過ぎても
あなたって手も握らない
I will follow you あなたに
ついてゆきたい
I will follow you ちょっぴり
気が弱いけど
素敵な人だから
心の岸辺に咲いた 赤いスイートピー♪
<春色の鉄道?>
心が温かくなるような詩ですね。
今では想像できません(?)が、デビュー当時の松田聖子さんは、バリバリのアイドルとして歌っていました。
1980(昭和55)年のデビュー3曲目の「風は秋色」から、1988(昭和63)年の「旅立ちはフリージア」まで、「赤いスイトピー」を含め24曲連続で「オリコンシングルチャート(週間)1位」を獲得する人気者でした。
この曲が出て30年以上経ちますが、女子を中心に根強い人気があります。
特に、歌詞の、「I will follow you あなたについてゆきたい」という言葉を信仰し、男性に依存する傾向の強い女性のことを、「赤いスイトピー症候群」と呼ぶそうです。
一方で、好きな女性に告白できない男子、あるいはデートに誘っても次のステップに進めない男子(まじめ?、弱気?)のことを、「逆・赤いスイトピー症候群」と呼び、草食系男子を中心に自分のことを、この曲を聞いて慰めているという話もあります。
どちらにしても、「赤いスイトピー症候群」の人たちは、歌詞に出てくるような恋をして、ゴールインする「純愛映画」のようなストーリーに憧れる純粋な人ですね(私もそんな時期がありました)---、現実にはなかなか難しいことすね。
でも、私も、高校の校内放送で誕生日の昼休みに、「スイトピーさん(匿名)から誕生日おめでとう」というメッセージと曲をプレゼントしてくれたことは、いい思い出として、今でも心に残っています。
<写真 スイトピー>
ここで、「スイトピー」という花の紹介をします。
スイトピーは、マメ科レンリソウ属の一年草で、和名では「ジャコウエンドウ(麝香豌豆)」や「カオリエンドウ(香豌豆)」などと呼ばれています。
原産地は、イタリアのシシリー島で、1695(江戸時代の初め)年に、修道僧クパーニによって発見されました。その後、イギリスで園芸植物として改良されて、イギリス王室に愛されました。
日本には、19世紀中頃(1800年代中期=幕末)に入ってきています。
しかし、「スイトピー」の花を有名にしたのは、何といっても「赤いスイトピー」のヒットです。
スイトピーの花言葉は、「門出・思い出・別離」です。
赤いスイトピーは、「別離」ではなく、「門出」あるいは「思い出」の歌と、信じたいですね。
もう一つ、「スイトピー」には毒があるそうで、人間がたくさん食べ過ぎると、神経性麻痺を引き起こし、歩行困難になるそうです。
また、動物では骨格異常が生じることもあるそうです。
「綺麗な花」、あるいは「かわいい花」には、毒があるということですね。(恐い)
そろそろ、「赤いスイトピー」の2番の歌詞を紹介します。
♪(2番)
四月の雨に降られて駅のベンチで二人
他に人影もなくて不意に気まずくなる
何故 あなたが時計をチラッと見るたび
泣きそうな気分になるの?
I will follow you 翼の
生えたブーツで
I will follow you あなたと
同じ青春
走ってゆきたいの
線路の脇のつぼみは 赤いスイートピー
デートの時、時間が経つのは早いのに、2人の仲はなかなか近づかない、そんな「ほのぼのとした情景」が、見えてきますね。
<写真 無人駅>
最後に、赤いスイトピーの「不思議ですてきな話」を2つ紹介します。
1つ目は、松田聖子さんが、デビュー以来続けてきた明るく元気な曲調(「裸足の季節」「青い珊瑚礁」「風立ちぬ」など)から、この「赤いスイトピー」で、「じっくり聞かせるソフトなバラード調」に、なぜ変えたかという話です。
実は、当時、二十歳の松田聖子さんは、声の使い過ぎと変声期で、大きな声が出しにくい状態になりました。
そこで、「聖子ちゃんカット」をショートに変えるとともに、ソフトな声でも歌えるバラード調に変えた1曲目が、「赤いスイトピー」なのです。
因みに、この曲のあとに出した曲は、「野ばらのエチュ-ド」「瞳はダイアモンド」など、バラード調が多くなっています。
<写真:赤いスイトピー>
もう一つは「赤いスイトピー」という、花そのものについての話です。
この歌がヒットした1982年当時、実は日本には「赤い花のスイトピー」がありませんでした。
松田聖子さんの曲を聞いて、「赤いスイトピーが欲しい」との声があちこちから上がりました。
それに応えようと、三重県伊勢市の花栽培農家中川猛さんが、「赤いスイトピー」を品種改良で作り出す研究を始めます。
しかし、5年経っても10年経っても、なかなか「赤いスイトピー」はできず、半ば開発をあきらめかけました。
ところが、「赤いスイトピー」のヒットから20年以上経った2003(平成15)年、突然、1本だけ鮮やかな赤色のスイトピーの花が咲きました。
2006(平成18)年からは、市場や生花店に「赤いスイトピー」が出荷され始めました。
中川さんは、「赤いスイートピーは、勇気の出る色。愛の告白にいかがですか。」と話していられます。
おしまいに、「赤いスイトピー」の最後の部分の歌詞を書きます。
♪
好きよ 今日まで
逢った誰より
I will follow you あなたの
生き方が好き
このまま帰れない 帰れない
心に春が来た日は 赤いスイートピー♪
<一句>
・生き方が 好きだと言いたい 言われたい
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