2016年3月23日水曜日

しづ心なく散る青春桜 ~入学と卒業 さくらが似合うのは?~

  3月19日に福岡と名古屋で、2016年の全国のトップを切って桜が開花し、3月21日には平年より5日早く東京(標本木・靖国神社)で開花しました。
 いよいよ、桜の季節ですね。
 そこで今回は、「桜・サクラの話」をしたいと思います。

<写真 東京国立新美術館(港区六本木)の桜>



 「ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花ぞ散るらむ」

(現代語訳=春ののどかな日が差しているのに、桜の花は落ち着きもなく、急いで散ってしまう。)
 この和歌は、平安時代前期の紀友則(きのとものり 845年?~907年)の作で、「古今和歌集」に掲載されています。
 桜の花の美しさと切なさが出て、いい歌ですね。


 「桜・サクラ」は、バラ科モモ亜科スモモ属の落葉樹で、原産地はヒマラヤ近郊です。
 日本では、平安時代頃から「日本を代表する花」として、人気があり、江戸末期には300種類以上の桜が誕生しました。
 桜は、街路樹としても人気が高く、全国では50万本近くが植えられ、イチョウについで2番目に多い数です。

 桜の代表格といえば「ソメイヨシノ」ですが、ソメイヨシノは、江戸時代末期の江戸・染井村(現在の東京都豊島区駒込)で植木職人の品種改良によって生まれたという説が有力です。
 この辺の話を紹介した本に、岩崎京子さんの書いた「花咲か」(偕成社)があります。

<写真 桜の花>



  「春風の 花を散らすと 見る夢は 覚めても 胸の騒ぐなりけり」

(現代語訳=春風が桜の花を散らす夢を見ると、起きてもまだ胸がどきどきしている。)
 この和歌を作ったのは、平安時代末期の歌人・西行(さいぎょう 1118年~1190年)ですが、桜の一番の魅力は、春にパッと咲いて、潔く散ることですね。

 特にソメイヨシノが同時に咲いて、同時に散るのは、1つの株から全国に広がったクローンだからとも言われています。

 ここで問題です。
 桜はその華やかさと潔さで、「卒業式」や「入学式」の花とされていますが、「さくらが似合うのは、入学と卒業」どちらだと思いますか。

 今年、3月の初めに「フジテレビ」の番組でアンケートをとると、「卒業式=27%」「入学式=73%」(投票数3630)だったそうです。

 沖縄を除く桜の開花日は、3月下旬以降なので、本当に桜が咲くのは「卒業式」ではなく、「入学式」かそれ以降ですので、このアンケートの答えは正解ですね。

 それでも、その散り際の見事さと華やかさのせいか、「卒業=さくら」のイメージは、やっぱり強いですね。

 たとえば、「桜ソング」の代表、「さくら~独唱~」(作詞:森山直太朗・御徒町凧 作曲・歌:森山直太朗、2003年)でも、こんなフレーズがあります


さくら さくら 今咲きほこる
刹那に散るゆくさだめと知って
さらば友よ 旅立ちのとき
変わらないその想いを 今 ♪


 明らかに、卒業・別れの歌ですよね。
 
<写真 さくら>




 最後は、「桜と青春」をテーマに作った自作の詩を書きます。


「しづ心なく散る青春桜」

桜咲く入学式 君は光の中にいた
キラキラと光る 校門で
君は まぶしく 輝いていた

やがて青春の季節は 移っていった

夏-汗の洪水の中で 打ち込んだクラブ活動
秋-文化祭のライブを聞きながら 君を探して 佇んでいた 
冬-窓の雪とラジオの深夜放送を友に 時間と眠気と戦っていた受験勉強

春夏秋冬 春夏秋冬 春夏秋冬
それから  いくつもの季節が巡って

桜散る卒業式 君は涙の中にいた
しづ心なくヒラヒラと 桜の花びらが散る校門を
みんなが 静かに 旅立っていった

あとには 枝だけになった桜の木が
新しい別の青春を 見守る準備をしていた
 

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