犠牲者のみなさんには、哀悼の意を表したいと思います。
今回の「ニュースな国」は、このベルギーについて紹介します。
ベルギーは、正式名を「ベルギー王国」といい、ヨーロッパにある「連邦立憲君主制国家」です。
現在の国王はフリップ王です。
人口は約1100万人、面積は30,528㎢です。
日本でいうと、九州の人口が1300万人、面積が39,809㎢ですから、九州より少し小さい規模です。
ただし、ベルギー政府観光局の資料には、「面積は四国の1.5倍」と出ていますので、そちらの表現の方を、してほしいのかも知れませんね。
ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3国は、ともに立憲君主制で、国土が小さく連携が強いため、「ベネルクス3国」と呼ばれることもあります。
ベルギーの首都は、今回、テロがあったブりュッセル市で、市の人口は17万4千人ほどです。(うち、外国人が6万人)
ちなみに、日本の同規模(17万人余り)の市(特別区)は、北海道苫小牧市、神奈川県鎌倉市、東京都台東区、富山県高岡市、島根県出雲市、山口県宇部市などです。
「EU(ヨーロッパ連合)の首都」と呼ばれる割には、「小さい都市」という印象ですが、実際にはブリュッセル市を中心とした「ブリュッセル首都圏地域」を指すことも多く、この場合の人口は114万人で、日本で言うと、政令指定都市の広島県広島市と同規模になります。
<ベルギーと隣国の位置関係>
ベルギーの歴史は比較的新しく、1830(天保元=江戸時代末期)年に、ネーデルラント国王ウィレム1世の支配に対して、「独立革命」を起こし、同年に独立を宣言したことで誕生します。
翌1831(天保2)年7月21日に、ドイツの領主のザクセン=コーブルク=ゴータ家からレオポルドを初代国王として迎えました。(この日が、建国記念日になっています。)
その後、第一次世界大戦と第二次世界大戦では、ドイツに占領されますが、戦後、独立を回復しています。
また、1908年~1960年まで、「アフリカのコンゴ」を植民地としていました。
ベルギーは、「EU(ヨーロッパ連合)」の原加盟国の1つで、地理的にもフランス・ドイツと隣接し、イギリスとも海峡を挟んで近いことなどから、「首都ブリュッセル」は、欧州委員会(政策執行機関)など、EUの主要な機関が置かれていて、EUの「首都」的な性格を帯びています。
ベルギーというと、高級チョコレート「ゴディバ」(1926年創業)などに代表されるチョコレートや、「ベルギーワッフル」でおなじみのワッフルなどの、加工菓子が有名です。
他にも、世界最大のビール会社の「アンハイザー・ブッシュ・インベブ」もあり、グルメファン必見の国です。
次にベルギーの観光地を、いくつか紹介します。
まず、最初のおすすめは、ヴィクトル・ユゴーが「世界で最も美しい広場」と呼び、ジャン・コクトーが「絢爛たる劇場」と称えた、世界遺産にも登録されている「グランプラス広場」(ブリュッセル)です。
首都ブリュッセルでは、このグランプラス広場を中心に、王立美術館やマグリット美術館などを巡り、蚤の市、レストランなどの街歩きが楽しむことができます。
また、ブリュッセルから南西80kmほどにある「ハレルボスの森」には、まるでおとぎ話のように、青いヒヤシンスの絨毯が覆う「青い森の光景」があります。
さらに、北東部にある古都「ブリュージュ」は、屋根のない美術館と呼ばれるほどの、メルヘンチックな町並みと水路があります。
ちなみに、ベルギーの首都・ブリュッセルには、導火線に小便をかけて街を救ったという伝説がある「小便小僧の像」がありますが、この近くにはなんと「小便少女」の像もあるそうです。
(写真のアップはやめときますが、びっくりですね。)
<写真 グランプラス広場>
それでは、一番気になる、ベルギーの「テロ事件後のようす」(ベルギーなう)を、ベルギー在住の「日本人ブログ」から抜粋して紹介します。
・ 「公共の交通機関は止まらない駅などはあるにせよ、運行を開始している。
昨年11月のパリでの後は、迷彩服を着た軍人が銃を構えながら歩いていたけど、今日は外に出てもそんな光景は見られなかった。
ただ家の前の通りには国旗を黒い紐で束ねて窓の外に出しているお家が数軒あり、近くの学校も半旗を掲げていた
どんよりとした灰色の空と相まって、とても空気が重く感じた。ベルギーは3日間の国喪。」
(2016年3月25日、ベルギー在住日本人のブログ「ショコラの香りに誘われて」より)
・「メインストリートには、ベルギー国旗の半旗が掲げられています。
良くクラシックのコンサートを聴きに来るホール(Bozar)も、ベルギー国旗の他、EU国旗、そしてホールの名前の旗も全て半旗状態です。
入口は、一箇所に絞って、身元確認、荷物チェックをしていました。
歩行者天国となっている大通りでは、ろうそくを灯し花を供えて事件の犠牲者へ捧げる一角があり、小さなろうそくを持ってきた僕らも冥福をお祈りしてきました。
若者を中心にたくさんの人だかりがあり、追悼集会が、テロのあった当日のお昼頃からずっと行われています。」
(2016年3月25日、ブログ「ヨーロッパ発 日欧ミドルGAYカップルのツレ連れ日記」より)
早く平和なベルギーに戻るといいですね。
<写真:ハレルボスの森>
おしまいは、ベルギーを舞台にした児童文学・アニメとして、日本で有名な「フランダースの犬」のお話です。
「フランダースの犬」は、1872(明治5)年に、イギリスの作家ウィーダが書いた小説で、19世紀のベルギー北部のフランドル地方、アントワープに隣接する「ホーボケン (Hoboken)」という村 が舞台となっています。
プロの画家を目指す貧乏な15歳の少年ネロが、願い叶わず愛犬のパトラッシュを抱きしめたまま、クリスマスの朝、「アントワープ大聖堂(聖母大聖堂)」の憧れのルーベンスの絵の前で、冷たくなって発見されるという悲しい話で、童話やアニメにもなったため日本人の多くが知っています。
でも、アメリカでは「悲劇すぎる」と書き換えられ、地元ベルギーでは「イギリス人の書いた話」として、ほとんど知られていないそうです。
なんだか、今も悲しい話ですね。
ところが、日本人観光客からの問い合わせの多さに驚いたベルギーでは、1986(昭和61)年にホーボケンに「ネロとパトラッシュの銅像」が建てられました。(写真)
また、2003(平成15)年には、「アントワープ・ノートルダム大聖堂」前の広場に記念碑が設置されました。
よかったね!
ネロ、そしてパトラッシュ。
♪「よあけのみち」 (アニメ「フランダースの犬」主題歌、1975年)♪
作詞/岸田衿子
作曲/渡辺岳夫
編曲/松山祐士
♪
LaLaLa LaLaLa
Zingen Zingen
Kleine Vlinders
LaLaLa LaLaLa
Zingen Vlinders LaLa
ミルク色の夜明け
見えてくる まっすぐな道
忘れないよ この道を
パトラッシュと歩いた
空に続く道を ♪
<写真 ネロとパトラッシュの銅像(ベルギー)>